出会い

ベンチに腰かけ、宙に置くわたしの眼
ちいさなあなたが行き、過ぎる
この老人とちらと目が合い、ぺこりと会釈して

 

あなたの声を、わたしは知らない
わたしは忘れた、あなたの顔立ち、性別すら

 

確かなのは、
まなざしの交差、あのかちりとした感触
ふたつの時が透り重なる、瞬きの間(ま)
出会いという出来事

 

わたしにとってあなたは、姿ではない
声でもなく、名前でもない

 

そう、あなたは
出会いだった
出会いという出来事だった

 

その出来事として、
出会いという出来事として、
わたしは確かにあなたにあったのです