お母さん

そう言えば今日、よちよち歩きのこどもをつれた、買い物帰りのお母さんを見かけた。人の家の敷地の前で立ち止まったこどもに、「だめ、怒られるよ、はいっちゃだめ」と何度も声をかけていた。怒られることを怖がっているような困った声だった。

 

そこに入ったら、怒られるよ。怒られたら怖いでしょう。そこに入ったら怖いことが起るのよ。怖いことが起こるのが怖い、言うこと聞いてよ、怖いよ、どうして言うこときいてくれないの…。

 

こどもはお母さんの方を見向きもせず、敷地の前で立ち止まって中を覗き込んでいた。お母さんは、怒られるのが怖いこどもみたいに、泣きそうな顔だった。