心理社会的療法を学ぶ(3)ケースワークの原理的価値:個人には、本来的に価値が内属する

ホリス、ウッズの『ケースワーク:心理社会的療法』

第二章は「心理社会的参照枠組み:概観」。※心理社会的に事象を解釈する際、参照とする概念上の枠組み、程度の意味だろうとして置く。

 

p.35 まず、「基礎的価値」とある。ケースワークと言う営みにおいて、何が価値あるものとされているか。我々は何を目指して動いていくか、その根本的なところでの理念は何か。

曰く、「心理社会的ケースワークは、個人のwell-beingへのその直接的関心によって特徴づけられる」。well-beingをできるだけ素朴に訳せば「よく-あること」(価値と存在が無造作に結ばれているのが面白い)。どこまでも深淵な問題である。これこそ問われるべき問いだろうと思われる。がこの本ではそれは扱われていない。ここではそれが「個人の」well-beingであるというところに着目するよう求められているようである。「社会の」とか「国家の」でもないし、「天皇陛下の」とか、「神の」でもない。あくまで、個人のwell-being。

 

個人は本来的に価値ある存在とみなされている。

同ページ「個人に本来的に具わっている価値を強調することは、非常に重要な、ケースワークの原理的な特徴である」。個人には、本来的に価値が内属するという思想。そして、ここから導き出される実践的態度が、受容acceptanceと自己決定Self-Determnationへの敬意である、と展開して行く。

 

ソーシャルワークの(少なくともこの本で説かれている)、最も基礎的理念は、個人indivisualを価値あるものとみなすことと宣言されている。知らず、私たちの時代はこの命題に慣れ親しんでいたとしても、これが相当ラディカルだった時代もあったに違いない。これもやはり一つの思想である。ソーシャルワークが、一つの実践的思想体系であり、我々は、一つの思想に与していることを自覚しておく必要がある。