心理社会的療法を学ぶ(2) 本の目的と、治療therapyの概念

ホリス・ウッズの『ケースワーク:心理社会的療法』の続き。

まずは、序文と、一章の冒頭にある、この本の目的。

 

p.XV

「『心理社会的療法』がデザインされたのは、ケースワークトリートメントへの心理社会的アプローチの理論と技術を明確に提示するためである。この本は、臨床での心理学的、相互人間的(interpersonal 国際的という日本語にならって人際的とか、人格際的とでも訳したらいいか。あるいは、「人と人の間的」)、社会的な問題の予防と処置における、ソーシャルワーク実践の「なぜ」と「いかに」を扱っている。(…)もちろん、変化する時勢や、(これまでと)異なる種類の困難さから生起している新しいチャレンジは、多様な力点の置き場や、技術を要求する。しかし、この本で説明するように、心理社会的アプローチのもっている原理は、広範な領域にわたって適合し、広い幅のジレンマに直面しているクライエントを援助するために適応可能である。」

 

一章 p.3

「この本の関心とする所は、ケースワークへの心理社会的接近法の叙述と分析にある。究極の目的としては、個人的かつ社会的ジレンマ(十分に対処することができない、あるいは解決に困難のある)に直面している個人や家族に対して提供される、ケースワークまたは臨床ソーシャルワークトリートメントの質を向上させることに貢献することである。(…)トリートメントの過程の下に横たわっている本質的な原理を、明確に提示せんと我々は試みる。その結果、読者が自身の技能を高めることができるように」

 

「トリートメント」treatmentという語が気になる所であるが、5ページに説明がある。

トリートメントというと、日本語でも荒れた肌のトリートメントとか言うように、傷ついたもの、病等を相手とした何らかの配慮的行為という連想がわく。が、そういう含みを持たせるつもりは無い、とのことで、曰く「treatmentと言う語は、一般的な辞書的な意味の、dealing with(対処・処置する)とか、acting or behaving toward another person in some specified way(何等かの特定の仕方で他者に対して行為すること、ふるまうこと)という意味において、我々は用いる」。(いい日本語はないだろうか。)

 

同じページのすぐ下に、この本のタイトルにも含まれている、療法/治療therapyという語の説明もある。治療の概念ということで、大事な箇所だと感じる。

 

「個人(単独の、または家族や形成されたグループにおける)が、人間の苦悩を引き起こしている、これらは環境的、人と人との間的(interpersonal)かつ・または、内-心理的なジレンマーそしてこれらとの相互作用ーに対処することを可能ならしめるための、そこでは社会的、心理学的手段が採られている働きworkを指すために、この本そしてそのタイトルで、therapyという語を我々は用いる」。

 

修飾がいくつも重なり、ややこしい日本語になってしまったが、分節してみると、心理社会的療法の目的・手段・問題意識(対象を捉える視点)が含まれていることが分かる。

A)療法という語は、「働き」workを指す。その目的は、苦脳しているひとりの人間が、ジレンマに対処することができるようにすることである。(※あくまで対処する主体は苦悩している人本人。このtherapyを行う者、workするものではなく。workするものの役割は、苦脳している個人にジレンマへの対処を可能ならしめること)

B)本人が苦悩に対処できるように、「働き」workにおいて用いられるものは、社会的・心理学的手段である。(具体的にはどのような手段なのか? つづきが気になる)

C)環境的・相互人間的・内-心理的ジレンマ(これらは相互に影響しあってもいる)が人間の苦悩を引き起こす。(単純に個人の心理的な葛藤を扱うのではなく、悩みとは、環境や人との関わりの間で生れるものであるというソーシャルワークらしい視点)

 

今回は以上。

 

 

kyodatsu.hatenablog.com