なぜ自殺で楽になるのか(1)

 

A「わたしは、つらいことがあってもういやだ、と思って死んでしまいたくなる時があります」

B「いっそ死んでしまえば楽になる、と…」

A「ええ」

B「死ねば本当に楽になるのでしょうか」

A「…わかりませんが、今よりはマシなのではないかと思えます」

B「なるほど、今よりはマシと…。そう思われるほどの大きな困難をおもちでいらっしゃるのですね。しかし、死ぬとはどういうことなのでしょう。心臓や脳の機能、生体の機能を止めてしまうことは、たしかに現実に可能なことです。薬を飲んだり、首をつったりすれば…。しかしそのとき何が起こるのでしょう。いわゆるこの人は「死んだ」と言われる状態になったとき、あなたは、わたしはいったいどうなっているのでしょう」

A「どう、と言うのはどういうことですか」

B「たとえば、死んだ後に行くような世界、あの世、のようなものをあなたは信じていますか。それとも、死ねば、自分は消えてなくなってしまうのでしょうか」

A「…後者、でしょうか。わたしとしては。じぶんがいなくなる、と想像するから、その方が楽と思えるのです」

B「じぶんがいないから、楽…ですか。でも、もし死ぬとは自分がいなくなることであるとすれば、死んだときじぶんはいないわけだから、死んで楽になった、と思うことのできるじぶんもそのときいないのではないでしょうか。つまり死んで楽になることは、ない、のではないでしょうか」

A「自殺しても楽にならない、楽になる自分はいない…と言いたいのですね」

B「死ぬということが、じぶんが存在しなくなることだとすれば」

A「なるほど。しかし…自殺することが救いであるように思えるのはなぜか…少し考えてみていいですか」

B「はい。どうぞ」

 

(つづき

なぜ自殺で楽になるのか(2) -