本の嗜好。

 おもしろいと思う本。おもしろくないと思う本。ということです。

 

・いちど読んでさらさらとつまづかずに読破できてしまう本は、面白くない。何度も読み直して言葉を味わおうとせねば理解できないもの、再読しようと思わせる深み。不思議がその本に眠っていると感じられること。

 

・何を言っているのか、呪文でも読んでいるように、わからない本も面白くない。読んでいて眠くなる。あるいはいらいらしてくる。精神にしみ込んでこない空疎な言葉だけが、内言空間を異物のままから滑りして跡も残さず消えていく。

 これについては、魅力の対象でもある。
 書いてあることが理解できない時、二つの可能性が考えられる。

①書き手の考えが間違っている。②じぶんの理解力が足りない。
 書物を読むときは、可能な限り善意に解釈すべきだ。つまり②の可能性を優先的に見ておくべきだ。さもなければ、今現在じぶんが理解し得る以上のものを認識する機会を逸することになる。それならはなから他人の書いた文章を読む意味がない。

 

・最初から疑われる事を受け付けない文章や、疑われたとたんあっさりおれてしまう文章はあまり面白くない。前者は対話を拒否している。後者は話し相手として骨が無い。書物は、理解できなさ・懐疑に応えてくれるものが面白い。そういう書物は何度でも手に取りたい。